昨年度わいせつ行為などで懲戒処分などを受けた教員は273人

2020年12月22日(火)17時01分
昨年度わいせつ行為などで懲戒処分などを受けた教員は273人
児童や生徒、同僚などへのわいせつ行為やセクハラ行為で懲戒処分などを受けた教員は昨年度、273人と、過去2番目の多さとなりました。今回初めて、特に悪質な「わいせつ行為」の内訳を調べたところ、18歳未満の子どもが被害にあったケースが7割に上ることがわかりました。
文部科学省によりますと、昨年度、懲戒処分などを受けた全国の公立学校の教員のうち、強制わいせつや盗撮といった「わいせつ行為」で処分されたのは174人、不快にさせる性的な言動などの「セクハラ行為」による処分は99人で、合わせて273人に上りました。
過去最多だった前の年度から9人減ったものの、過去2番目の多さとなっています。
処分された教員の所属は
▽小学校が80人
▽中学校が81人
▽高校が92人
▽特別支援学校が19人などでした。
場面としては勤務時間外が7割近くを占めましたが、学校内のケースも
▽授業中が20人
▽放課後が23人
▽休み時間が16人
▽部活動が10人などと多くありました。
今回初めて、特に悪質で犯罪のおそれがある「わいせつ行為」について、処分された174人の行為の対象を調べたところ
▽同じ学校の児童生徒が最も多い76人
▽卒業生が7人
▽ほかの18歳未満が43人で、子どもに被害を及ぼし処分された教員が126人と7割を占めました。
このうち
▽121人が懲戒免職
▽5人が停職となっています。
文部科学省は、自治体ごとに異なる処分基準の厳格化を求めていて、ことし9月までに、すべての自治体で児童や生徒に対する教員の「わいせつ行為」は原則、懲戒免職となっています。
また、文部科学省では、処分の増加を受け、教員免許を失効した人の情報検索システムの掲載期間を現在の3年から40年に延長することにしています。
「表面化はごく一部ではないか」
今回の結果について、犯罪心理学が専門で教員のわいせつ事案に詳しい、奈良大学の今井由樹子准教授は「教員によるわいせつ行為は児童・生徒にとって重大な精神的被害をもたらし、教育への信頼が失われる脅威にもなる。声をあげにくい被害で、表面化しているのはごく一部ではないか」と指摘しています。
今井准教授は、わいせつ事案を起こした教員への聞き取りも行っていて「生活のストレスを解消する対象として子どもに向かっていくと見られ『これぐらいなら』などと、誤った思考に陥ることから被害が生まれていく。学校内の人目につかない場所を熟知しており、絶対的な地位や信用を利用しながら成績や部活動などを引き合いに近づくケースが少なくない」と話しています。
今井准教授は、教員が自分の行動を振り返るチェック表の作成に取り組んでいて「特定の子どもとの個別面談が複数回・長時間に及ぶことがある」とか「指導・励まし・ねぎらいのために体に触れることがある」など34項目を設け、危険度を可視化できるようにしています。
今井准教授は「定期的に自分自身の行動や傾向を把握し抱えているストレスを身近な人に相談するとともに、解消できなければ、心理の専門家や性的な分野に特化した治療機関に相談するなど、早急な対応につなげてもらうことが重要だ」としています。
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