
2017年8月23日(水)17時39分
中学校教諭が「ベランダから飛び降りろ」発言 謝罪へ 福島東京電力福島第一原発の事故のあと避難を続けている生徒が通う福島県内の中学校で、1年生の担任の男性教諭が、先月生徒に対して「ベランダから飛び降りろ」と発言していたことがわかりました。学校側は担任の交代を決めるとともに、23日夜保護者への説明会で謝罪することにしています。
発言が問題となっているのは、原発事故のあと生徒たちが避難している福島県いわき市の仮設校舎で授業を行っている双葉町立双葉中学校の50代の男性教諭です。
NHKの取材に応じた複数の生徒と保護者によりますと、教諭はこの春別の学校から赴任して5人の生徒がいる1年生の担任になりましたが、先月下旬、授業中に男子生徒が自分の意見を発表できない様子を見て「ベランダから飛び降りろ」などと発言したということです。
また1学期の間には、この生徒に対し声が小さいことへの指導だとして、腹を強く押したり首を絞めたりする行為を繰り返したということです。
町の関係者によりますと、今月上旬複数の保護者から抗議を受けた学校側が聞き取り調査を行った結果、教諭は「飛び降りろ」と発言したことは認めましたが、腹を押したり首を絞めたりする行為はしていないと答えたということです。
学校側は保護者と生徒に対し「不適切な言動があった」などと伝えました。
学校側では25日始まる2学期から担任の交代を決めるとともに、23日夜、保護者への説明会を開き謝罪することにしています。
発言は埼玉の問題の直後生徒と保護者、学校によりますと、教諭が「ベランダから飛び降りろ」と発言したのは先月下旬だということです。
これは、先月18日に埼玉県所沢市の小学校の40代の男性教諭が4年生の児童に対し「窓から飛び降りなさい」などと発言したことが報道された直後の時期でした。
埼玉県の問題を知っていた生徒たちは、同じような発言にショックを受け、通っている塾の関係者や保護者に相談したということです。
教諭の行為について生徒と保護者は教諭の行為について1年生の生徒は「黙っていると首を絞められたり声を出すためだと言って腹を強く押されたりした。1学期は嫌なことが多かった」と話していました。
生徒の母親は「息子は声が小さいという理由で『毎日のように暴力を受けていた』と話しています。
学校からは『コミュニケーションの一環』などと説明を受けましたが、納得がいかず許せません」と訴えています。
この生徒の同級生の母親は「中学校に入ってから子どもが学校のことを話さなくなりました。こういうことがあると安心して子どもを学校に預けることはできません」と話しています。
さらに別の生徒の母親は「子どもたちは男性教諭に対して恐怖を感じ、精神的に追い詰められています。中学校の仮設校舎は狭く、ほかの教諭は知らなかったのか疑問です」と学校の対応に不満を感じていました。
全校生徒は11人 いずれも避難を経験東京電力福島第一原発が立地する福島県双葉町は、今も全域で避難指示が出されています。
原発からおよそ4キロほどの場所にある双葉中学校は、町にあるただ1つの中学校で事故のあと授業を休止していましたが、平成26年の春に避難している住民が多いいわき市で授業を再開しました。
その年の夏からは新たに建設された仮設の校舎で授業を行っています。
現在の全校生徒は11人でいずれも避難を経験し、複数回、転校した子どももいるということです。